Ben Wattが「Pop A Cap In Yo' Ass」ですよ
でも「Grime」とかいわんといてー(泣

b0008759_530528.jpg「Everything But the Girl」のBen Wattの最新作。

20年間で900万枚を売ったEBTGの活動が停止している理由は子育て中のTracy Thornにその気がないからという話だが、一方でBen Wattは1998年以降DJとしてレギュラーのパーティ「Lazy Dog」を持ち、ハコもつくり、2003年4月にはレーベル「Buzzin' Fly」を立ち上げ、remixだけではなく自作もリリースしている。

昔からのEBTGファンがこれをどう思っているのか…は後にまわすして、この間の彼のDEEP HOUSEに主軸をおいたMIXはどれも素晴らしい。
にも関わらず最新作は(このお下劣系なタイトルからも想像されますが)DEEP HOUSEとちょと違う。
新作が出る前におさらいしとけばよかったと後悔しつつ、2段構成でお送りしようとしてみます。書くの難しそうだな。

つかね。まず、みんなあまり知らないだろーと。EBTGファンじゃなくて、DEEP HOUSEファンのみなさん。売ってないし、話題にならないし、評価されてないし。
そういう自分も知らなかった。
出会い…もとい再会(Cherry Red時代は聞いてたから。遠いけど)は2002年の正月だった。埼スタで高校サッカー・南高vsどこだかを観戦した帰り(雪が降ってきた)、絶賛初デート中だったひとが池袋WAVEでEBTGの棚から『Back to Mine』*[DMC, 2001/05/29]を引っ張り出して喜んでいて、(そういうのが好きなのか…)と思ったりもしちゃったりしつつエクセルシオールカフェで盤を見せてもらったら、MODEL500とかTHE ANANDA PROJECTとかDUBTRIBE SOUND SYSTEMとか並んでて、しかも「Mixed by Ben Watt」と書いてある。
どゆこと?
Ben Wattは1992年に大病を患い、1994年に復活したと思ったらクラブミュージックに傾倒しててうんぬん。
へー。そうなんだ。
1曲1曲にBen Wattによる解説がついていて、Carl Craigの『A Wonderful Life』の説明の中で、
「テクノ本流の曲にも関わらず、自分たちが大好きな'80年代初頭のアルバムのひとつ、JOY DIVISION『CLOSER』の、あるスローなトラックのエコーがする」
(訳は適当)
と書いていて、(今思えばとっても失礼だけど)これはマジだ、と思い、そして軸足のありかを聞く前に了解できた。
その「スローなトラック」とは『THE ETERNAL』~『DECADES』だろう。
(でも自分には『CLOSER』[1980]を「favourite」と言うことはできないな。確かに憑かれたように聴いた。登校なんてできず受験勉強もせず。このことは彼らがあの「冬」をどうとらえどう越えたのかを知る手がかりにはなるかもしれないが…。ちなみにあたしはBen & Tracyとまったく同年代だ)




◇「クラブ」にしかない音

この「再会」をきっかけに彼のDJ Mix盤『Lazy Dog』*[Virgin, 2000/10/09]、『Lazy Dog, Vol. 2』[Virgin, 2001]を立て続けに渋谷HMVで発見。ともに2枚組で、1枚はBenの、もう1枚はBenとともに「Lazy Dog」のDJを務めていたJay Hannanによるmix。
ほれた。
「Lazy Dog」行きたい、つか誰か呼べ、と。Benの方しか聴いてないけど(ぉぃ)。パーティーのお客の気持ちだとかそのハコでの音の響き方だとか雰囲気そのものが!と思うほどに、クラウドの幸福感が主役のプレイ。その人がEBTGの人であるとかまったく関係なく、小さいハコでプレイし続けてきたDJならではのバイブレーションが全編にあふれている(日曜のそのパーティーが開かれていたNotting Hill Art Clubのキャパは200人だったとか)。選曲は意外に英国らしくなくすぅっとポジティブなDEEP HOUSEで、でも彼独自のビート感覚(勝手にWatt節と呼んでます)に貫かれていて、これがとても心地よい。

以来、朝のバスの中で、埼スタへ行く南北線の中で、ほぼたいてい聞くのはこれ。考え事するにしろ寝るにしろものすごく集中できるのだ。いい気分で。iPodの意味ないけど。

しかし「Lazy Dog」はついに日本にこないまま、2003年5月に終了(ガカーリ)。
公式HPでBenは「Tracyがヤダといってもスタジオに入れてレコーディングしたほうがいいか?」なんていう物悲しいアンケートをやってたりもしてた。
入れ替わりに彼は「Buzzin' Fly」を立ち上げ、2003年9月にはノッティングヒルにキャパ640の「Neighbourhood」をオープン(Subteraniaを買い取った、とか)、「Buzzin' Fly」のレギュラーパーティを開始。
レーベルオーナーとして数枚のアナログを送り出した後、初CD『Buzzin' Fly Volume 1』*([Bonus Disc]付*)[2004/03/24]をリリース。BenによるこのMix CDは、11曲中4曲が「Buzzin' Fly」の作品でレーベルサンプラー的な面もあり、『Lazy Dog』とはちょっと趣きが異なる。陰影のある曲が増えてるかな…でも向こうに希望を湛えているというのは変わらず。Watt節も健在。5曲目『A Stronger Man』 - Ben Watt feat Sananda Maitreya(Terence Trent D'Arbyですな)はとてーもいいです。
年末にはネット投票による「the House Music Awards 2004」で「the best breakthrough Label」賞を獲得(投票よろとBuzzin'のinfoメールでもおしまくってましたがw)
2004年11月からはついに自分のパーティーを「地元の人以外にも楽しんでもらいたいから」と日曜から金曜夜に変更。

と徐々に拡大傾向にある彼の活動ですが、それまでいた世界から見ればアンダーグラウンドもいいとこだよね。
『Lazy Dog』は全世界でそれぞれ50,000セット。DJのお相手は一度に数100人~1000人。『Buzzin' Fly Volume 1』は世界で25,000「も」売れたとリリースに書いてあったけれど。
一方でBenは2002年2月からキャパ150の小箱「Cherry Jam」(CherryはやっぱりCherry Red?)をウエストエンドに開き、こちらでは新人バンドやDJを育てる活動もしている。

方法論としてのダンスミュージックにとどまらず、ダンスホールに恋をして、ダンスレーベルまで始めちゃって、「次」はでもそれでもやっぱりETBGファンと同じなのだろうなあと思っていたのだが。


◇Tracyを待たない世界へ?

『Lazy Dog』Vol.1は11曲中、男声6、女声3(うちTracyが2)。
『Lazy Dog』Vol.2は10曲中、男声2、女声4、男女声1。
ETBGがDrum'n'Bassをとりいれた頃は(いま遡って聴くと)ちょっと殺し気味だったTracyの歌声を、どうすると一番生きるかを考えて楽曲を選び構成している気がする。Tracyがいつか歌ってくれないかなーという気持ちが、どんな歌声の歌姫を選ぶかに出ていたように思う(というか勝手にそう感じていた)
それが。

1月31日にリリースされたBen Wattの新作『Outspoken Part 1』はなんとヒップ。

A面『Pop A Cap In Yo Ass』にフィーチャーしているEstelleは、2004年に『1980』という曲でブレイクしたB-GIRLと。女 性 ラ ッ パ ー で す よ。
B面『Attack Attack Attack』のBaby Blakは、Jazzy Jeffの2002年のEPにBABY BLAK&Pauly Yamzとして参加してたというくらいしかわからなかったんだけど、フィリー系?


そういえば、活動停止してた1992年から1994年の間に何があったのか(何を聴いてたのか)知らないな…。シカゴハウスとか、遡って聴いてたりしたんだろうか。そんなんじゃなくてAltern8とかだったりして。それもそうだし、あれだけいろんな嵐吹き荒れるロンドンで7年もDEEP HOUSEのパーティーをやるということの位置も自分は全然わかってないな…なんてちょっとぐるぐる。


うーん。と悩んでいたら、下記事でもコメントくれてるDJ TSUGUさんが「グライムを意識してるのかも」と教えてくれた。
え。グライム。
とっさに浮かんだのは、Richard D. James君のレーベル「Rephlex」から去年出てたコンピ『GRIME』。1枚目にはPlastikmanも入ってるこれはある種の戦闘であり極端かもしれないが、dizzee rascal。wiley。とか聴いたことある音をアタマでシミュレートしてみるが…。地下活動を続けたUKガラージの「最先端」とかいう説明文が音と一致しないのな。なにかを語るにはあまりにもなにも知らないとこういうときに痛感する。
Drum'n'Bass、2Step、HIPHOP。ぶっといベースだったり踊れないビートだったり。スカスカなトラックに粗っぽいラップ。ストリートなのかストリート風なのか。

えー。粗くはないです。ボーカルトラックも含めて、変わらず透明感のある精緻なプロダクション。そこはBen Wattなので。
でもそろそろ次のアプローチをとろうとしているのは確かかな。

そんな「グライム調の曲も何曲か入っている」というBenの次のMix CD『Buzzin' Fly Vol 2』は、3月発売予定。
それと前後して、EBTGの「この10年を回顧する」Remix盤が出ます(って書いてあったんだけど、実質何年分?)
Everything But The Girl / Adapt or Die: 10 Years of Remixes * JP* US*[Virgin]
日本盤が一番早くて3/9予定。だけどCCCDらしい。ムカ。英盤3/14、米盤3/15予定。
(「EBTGの新作の予定はない」と同じリリースにきっぱり書いてありました)
1.Mirrorball (dj jazzy jeff sole full remix)
2.Before Today (adam f remix)
3.Missing (c.l. mcspadden unreleased remix)
4.Corcovado (knee deep remix/ben watt vocal re-edit)
5.Rollercoaster (king britt scuba mix)
6.Downhill Racer (kenny dope remix)
7.Single (brad wood memphis remix)
8.Walking Wounded (dave wallace remix)
9.Five Fathoms (kevin yost everything and a groove unreleased mix/bw edit)
10.Lullaby of Clubland (jay‘sinister’sealee remix)
11.Temperamental (pull timewarp remix)
12.Blame (fabio remix)
13.Wrong (todd terry unreleased freeze mix)
14.Driving (acoustic mix)

というわけで新作のおかげで突然興味のわいてきたEBTG後期編(とか書くとファンに殴られるが)を後日。上の新作とともに。

・・・
Ben Watt feat. Estelle and Baby Blak/ Outspoken Part 1 [Buzzin’Fly/010BUZZ, 2005/01/31]
*HMV渋谷2Fダンス12"棚でゲット。CDSもあり。渋谷の他店では見かけません。通販ではなぜか「ロック」に分類されてま。

Buzzin' Fly [http://www.buzzinfly.com/]
中に入ると上述の新作が流れます。「flypod」を選ぶと他の曲も聴けます。下のほうにあるDesktop PlayerでDJ MIX聴くのがおすすめ。。

レーベル名は、TIM BUCKLEYの同名曲から…って違ってたらスマン(手元に資料なし)。
(『Happy Sad』[Elektra,1969]収録。フォークロックの名盤…というか魂を抉り取られるような盤)
buzzin' flyは主人公の男のことで、ブンブンやってきて、ブンブン去っていってしまってから、そここそがオレのホームだったと、ぐずぐずした詞を不思議な軽快さで歌い上げる曲。気づいただけで満足なのか!?と'80年代後半にこれをきいたとき思いました…。
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by digibi | 2005-02-03 03:37 | technohead_punksoul
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